* TS-9とは [#a2dd5632]
- 薄緑色の筐体のオーバードライブの代名詞的ペダル、モデル名:"TUBE SCREAMER":TS-9
- Ibanez TS-808,TS-9には、[[歴史的変遷と混沌>#yc4e665d]]があります。オリジナルTS-808,TS-9はMaxon生産品であり、現在販売されているTS-808,TS-9は(2002年以降)Ibanez独自生産品となりました。[[>>詳しく読む>#yc4e665d]]

- 典型的なソフトクリッピング回路を搭載したオーバードライブペダルであり、独特の中音域の音の圧縮感を持ち、ソロ向きの濃厚で伸びやかな音を再現しやすい点が最大の特徴です。
-- 歪んでいるようないないようなあいまいさのある音ゆえに良質の真空管アンプを「鳴らす」働き、つまりブースターとしての利用や音の圧縮効果に優れ人気を得られたわけであり、そもそも多くの歪みを得る効果はありません。
-- 基本的な音のレンジは狭く、(新しいものほど)「低音や倍音が必要以上に削られ、中音域偏重だ」と言われる傾向にあります。

- オリジナルのTS-808(およびごく初期のオリジナルTS-9)には、「適度な粘りと伸びがあり、これにさわやかで少し金属的な倍音が加わり、弦の余韻があまり濁らない」という特徴がありました。Maxon生産品であるオリジナルIbanez TS-808,TS-9の『名誉』のために補足すれば、現在市販されているTS系ペダルには、これらの特徴をバランス良く有するもの、米国で伝説となったほどの『真』の音の価値を持つものは見当たりません。[[>>TS-808,TS-9の詳しい解説>http://www.jrc4558d.com/interview.html#tstone]]

** モディファイの特徴 [#a234ed80]
- 基本である調整、RE-J [[『良い音への修理』>RE-J#qe59a351]]音抜けチューンにより、エフェクトON/OFFいずれにおいても音の芯が太く音楽的で鮮明な音を与えてあります。
- TS-9の持ち味を最大限維持しながら、市販の状態で感じる過度の低音の削減、高音の抜けの悪さ、歪みの暴れ・分離の悪さなどの解消がなされています。

 『木のテーブルの上に、純銀のコインを落とした時響くような、重厚ながら澄んだ音色』

> がイメージされたことと、それまでのAnalogMan TS-9/808 modsにブラウンオプションなる調整が施されていたことから、同じく色に例えてシルバー(純銀の)オプションと連想し、TS-9/808/Silverと命名しました。

*** TS-9/808/Silver [#a0168a04]
- TS-9固有の中音域の音の濃密さを維持しながら、必要充分でタイトな低音が再生できるよう改善し、きらびやかで濁らない音の性質を与えました。
- ギターのボリュームを絞った際、音をクリーンなニュアンスに直感的に近づけられるよう調整しました。

-- [[Trey Anastasio from Phish with TS-9/808/Silver >http://www.trey.com/treysrig/]] 
-- [[Phish: Funky Bitch >http://www.youtube.com/watch?v=jl4yfElGsWw]]

*** TS-9/808/Silver+ [#cfc1f320]
- TS-9/808/Silverの特徴はそのままに、エフェクトOFFの際の音をよりソフトで解像度の高いものとし、エフェクトONの際は、弦のタッチに繊細に反応しより多くの情報量を含んだ鳴りが実現できるよう調整しました。

http://www.jrc4558d.com/TS-9.jpg

* TS-808,TS-9の歴史的変遷と混沌 [#yc4e665d]
- 米国で伝説となったオリジナルのIbanez TS-808,TS-9とは、日本が世界に誇る老舗エフェクターメーカーMaxonによって生産されたペダルであり、Ibanezとは当時の輸出用のブランド名に過ぎませんでした。
- その後の歴史的変遷を考察すると、以下のような複雑な実情と混沌があります。

-- 元祖:MaxonからのOEM供給(自社生産品の相手先ブランド名をつけた供給)でIbanez TS-808,TS-9が輸出販売されました。その後、TS-9は根強い人気によって復刻((覆刻:この解説の中では、オリジナルの原版・生産手法をできるだけ用いて再現したものという意味合いです。))生産され、2002年までMaxon生産品の販売が続けられました。

-- 実態:TS-808,TS-9のOEM供給と並行して、MaxonブランドのOD-808((いわゆるキャラメルスイッチで外観が全くTS-808と同じもの。普通の箱型でキャラメルスイッチのものも存在します。)),OD-9(基板や部品は大半がTS-808,TS-9と同じもの)も販売されています。ペダルの生い立ちからすれば、MaxonブランドのオリジナルOD-808,OD-9が、Ibanezブランドで販売された(2002年以前に限った)オリジナルTS-808,TS-9の元祖(実態、真正品)だと言えます。

-- 決別:2002年MaxonからのTS-9のOEM供給が収束し、Ibanez TS-9はIbanez独自生産品に移行しました。元祖生産元であったMaxonからは、電子式切り替え回路を除去して機械式スイッチ方式に変更されたOD-9(新9シリーズ)が販売されました。

-- 混沌:2003年Ibanez独自生産品として新たにTS-808が加わり、現在新品として販売されているTS-808,TS-9は揃ってIbanez独自生産品となっています。

-- 識別:バッテリーカバー裏にある[MAXON]または[Ibanez]の文字で生産元を識別できます。オリジナルTS-808,TS-9は無論[MAXON]のものだけです。中古品のTS-9には、かなりの確率でMaxonの復刻生産品があるはずです。

- オリジナルTS-808,TS-9と呼べるのは本来Maxon生産品であり、現在販売されているIbanez独自生産品のTS-808,TS-9は、オリジナルの生産に供された原版や生産方法を踏襲していないことからもはや復刻生産品とは呼べず、新たに企画された複製品(外観・構造や回路を丸ごと複製・コピーしたもの)という解釈のほうが自然ではないかと思います。

- 音や部品などに関して、機種や個体・世代毎に極めて多大なばらつきがあり、ましてやMaxon生産品とIbanez独自生産品の違いは大きく、これら全てのTS-808,TS-9を機種名だけでひとまとめにして扱ってしまうことは現実に即しません。
-- いくばくかの歴史的進化が加わっているものの、オリジナルTS-808,TS-9の直系の子孫と呼べ、音や部品などに関する安定感を持つ市販品はMaxonのOD-9(新9シリーズ),OD808(古典箱型シリーズ)だと言えます。

- もっと詳しく知りたい方のための解説記事:[[AnalogMan Interview!!! RE-Jによる翻訳解説>http://www.jrc4558d.com/interview.html]]

- AnalogManへのリンク(英語の解説ですが、貴重なペダルの画像を楽しめます。)
-- [[TS-808とST-9(画像)>http://www.analogman.com/graphics/808andST9.jpg]]、
[[TS-808について>http://www.analogman.com/tshist.htm]]、
[[TS-808コレクション>http://www.analogman.com/ts808.htm]]、
[[TS-808ぼこぼこ品>http://www.analogman.com/beattube.htm]]

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